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健康は一日にして成らず―40・50代から20・30代へのメッセージ

健康は一日にして成らず―40・50代から20・30代へのメッセージ

図表1

<40・50代の健康管理の現状>
第一生命経済研究所が2013年11月に実施した「40・50代の不安と備えに関する調査」では、この年代の人に対して生活習慣の改善などの健康管理に関するさまざまな行動をどのくらい重要だと思うか、またそれらがどのくらいできていると思うかたずねた。その結果、それぞれの行動を重要だと思っている人は多いが、必ずしもそれらを十分には行えていないことが示された(図表1)。
では40・50代の人々は、若い頃には健康に関してどのようなことを行っていたのか。また、行ったこと・行わなかったことに対してどう感じているのか。
前述の調査では、自分や家族の健康について、20・30代のうちに「やっておいてよかったこと」「やっておけばよかったこと」を、それぞれ自由回答形式で尋ねた。ここでは、その結果の中から代表的な回答を紹介している。

<自由回答の結果 ~20・30代のうちにやっておいてよかったこと・やっておけばよかったこと~>
自分の健康に関してやっておいてよかったこと・やっておけばよかったことに関する回答は、大きくは身体面・経済面・情報面に分類できる。以下では、それぞれについて述べる。

(1)身体面での配慮
身体面での配慮についての回答は、運動や食事など生活習慣における配慮と、健康診断・検診の受診や治療に分かれている。
1)生活習慣における配慮
a)運動・体力づくり
生活習慣に関してやっておいてよかったという回答が最も多かったのは、運動・スポーツや体力づくりである。運動の方法としては、「定期的」「日常的」「継続的」「適度」に行うといったキーワードがあがった。
生活習慣に関してやっておけばよかったという回答が最も多かったのもまた、運動・体力づくりである。運動や体力づくりをもっと早くからやっておけばよかったという回答のほか、楽しんで長く続けられる運動・スポーツを見つけておけばよかった、運動を習慣づけておけばよかったという回答も目立った。若いうちから運動習慣を身につけておくことの大切さを実感していることがわかる。

回答例
☆運動をしており同年代の方より基礎体力があること(男性50代前半)
☆スポーツをやっていたので健康に不安はない(男性50代後半)
☆30代後半から筋肉トレーニングを始めたこと(女性40代前半)
☆階段は歩いてエスカレーターは使わなかった(男性40代後半)
☆できる範囲で体を動かして、体力づくりをしていたこと(女性40代後半)
☆若い頃から、ずっとスポーツをやっていて、今でも続けています(女性50代前半)
☆スポーツをたくさんやっておいたので体力が今でも結構ある(女性50代後半)
★動けるうちにもっと体力、筋力をつけておけばよかった(男性40代前半)
★20代の時にもっと運動すればよかった(女性50代後半)
★ヨガやジョギング、ダンスなどの健康維持も兼ねた趣味づくり(女性40代前半)
★打ち込めるスポーツを見つけておけばよかった(男性50代後半)
★ダンスなど長く楽しめて体を動かせるものを、何かきちんと習っておきたかった(女性50代前半)
★趣味になるような運動をしておけばよかった(女性40代前半)
★運動を習慣づけておくべきだった(女性50代後半)
注:☆印はやっておいてよかったこと、★印はやっておけばよかったこと。( )内は回答者の性・年代。回答は原則として原文のまま掲載したが、文意を損ねない範囲で誤字・脱字等の修正や漢字表記の変更を行った箇所がある。以下の回答例も同じ。
b)食生活の管理
食生活の管理に関する回答は、生活習慣における配慮に関する回答の中では運動・体力づくりの次に多かった。「バランスの良い」「規則正しい」「健康的な」食生活を送る、「食べ過ぎない」「暴飲暴食をしない」、「外食を控え」「自炊」「手作り」をする、といったキーワードがあがった。また、特定の食品や栄養素への言及、例えば「野菜」「カルシウム」を多く摂る、「嗜好品」「酒」「添加物」を控えるといった回答もあった。

回答例
☆バランスのとれた食事をした(男性40代前半)
☆食事・栄養バランスに関して関心を持っていたこと(女性40代後半)
☆食生活の改善(女性40代前半)
☆好き嫌いなしに何でも食べる(女性50代後半)
☆規則正しく健康的な食事(男性40代後半)
☆暴飲暴食をしない(男性50代後半)
☆食事の手作り(女性40代後半)
☆野菜を多く摂取したこと(男性40代前半)
☆カルシウムをとる(女性50代後半)
★自炊(男性40代前半)
★もう少し食生活に気を配ればよかったと思う(男性50代前半)
★20代までは食生活も気をつけておらず、昼夜逆転の生活をしていたので、もっと気をつけて
おけばよかったと思う(女性40代後半)
★偏食しないできちんと食事をとっておけばよかった(女性40代前半)
★外食が多く食生活がよくなかったのでもっと自宅で食事するべきでした(女性40代前半)
★食べ過ぎない(男性50代前半)
★牛乳類をもっと取っておけばよかった(女性50代後半)
★食事の工夫と嗜好品の制限(男性40代後半)
★週1回の休肝日を作る(男性40代後半)
★食品の添加物や農薬に気をつける(女性50代後半)
★甘いものや油ものを控える(女性50代後半)
c)禁煙
禁煙をしたことがよかった・すればよかった、最初から喫煙をしなかったことがよかった・しなければよかったといった回答は、食生活に関する回答と同程度あった。

回答例
☆たばこを30代半ばでやめたこと(男性50代前半)
☆周りがたばこを吸っていても、興味がないからとたばこを吸わないようにしてよかった(男性40代前半)
★もっと早くタバコをやめておけばよかった(男性40代後半)
★そもそも喫煙を始めなければよかった(男性50代前半)
d)体重・体型の管理
「体重の管理」「体型の維持」「ダイエット」「減量」など、体重・体型の管理をやっておけばよかったという回答も多くあがった。
回答例
☆20キロ以上のダイエット(女性40代後半)
☆30代でメタボを克服した(男性50代後半)
☆体型を維持すること(女性50代前半)
★20代のうちにやせるべきだった(女性40代前半)
★ダイエットの継続(男性50代後半)
★体重の管理(女性50代後半)
★肥満対策(男性40代後半)
e)歯の自己管理
「歯磨き」「歯の手入れ」「歯のケア」など歯の健康管理に関しては、やっておいてよかったという回答はほとんどなかったが、やっておけばよかったという回答はかなりあった。
回答例
★歯をもっと大切にしておけばよかった(男性40代後半)
★歯が悪いので、もっと歯磨きなど口腔ケアをしておけばよかった(女性50代後半)
★歯の手入れをもっと熱心にやっておけばよかった(男性50代前半)
2)健康診断・検診の受診、治療
定期的な「健康診断」「検診」「人間ドッグ」の受診や、病気の早期治療・適切な治療を、やっておいてよかった、やっておけばよかったとする回答は、食生活の管理、禁煙と同程度に多かった。健康診断や検診を受けたことにより病気の早期発見・早期治療ができたという回答がある一方、受けなかったために発見や治療が遅れたという回答もあった。
前述の歯の自己管理と同様、歯の検診や治療・矯正については、やっておけばよかったこととしての回答がやっておいてよかったこととしての回答を上回った。

回答例
☆こまめに検診を受ける(男性50代後半)
☆必ず毎年の定期健康診断を受けて、気になることがあれば病院に行っていた(女性40代前半)
☆夫と私は定期検診をきちんと受けていて、病気を早期発見できた(女性40代後半)
☆検診を受けて私自身のガンが早期発見できた(女性50代前半)
★積極的に検診を受けて悪いところは早めの対処をしておけばよかった(男性40代後半)
★健康診断を気にせず好き放題やっていたのが今の自分の病気につながった。ある程度でも気にして生活すればよかった。(男性50代後半)
★異常があった時すぐに医療機関に行けばよかった(男性50代前半)
★自分の体がおかしいと思った時に、徹底した検査をすればよかった(女性50代後半)
★体調が悪くなったときに無理せず、きちんとした診断と治療を受けていればよかった(男性40代前半)
★腰痛が起きた時にきちんとした治療をしておけばよかった(女性40代前半)
★心療内科に早く行けばよかった(女性40代後半)
★歯医者に行って、悪いところを治しておけばよかった(男性50代前半)
★虫歯がなく、歯医者に行く機会がなかったので、歯科検診を受けておけばよかった(女性50代前半)

(2)病気に対する経済的な備え
保険・年金への加入や貯蓄などの経済的備えを行っておいてよかった、行っておけばよかったという回答は非常に多かった。その中には、何のための備えかが明記されていない回答も少なくなかったが、病気になった時や介護が必要になった時のためという目的が明記されている回答例としては次のようなものがあった。
回答例
☆医療などにかかるお金を貯めておくこと(男性40代後半)
☆保険料の安い時に医療保険に入っておいたこと(男性50代後半)
☆生命・医療保険に早くから加入し、こまめに見直すなどしていたこと(女性50代前半)
★医療保険などに入っておき、いざというときに入院・手術費用などに対応できるよう考えておけばよかった(男性40代前半)
★無理をしてでも医療保険などに入っておけばよかった(女性40代後半)
★医療・介護に備えての貯蓄(男性50 代前半)
★こんな超高齢化社会がやってくるとは思っていなかったので、介護の為に使える保険や貯え
を十分に用意しておくべきだった(女性50代後半)

(3)健康に関する知識・情報の取得
健康の維持・管理、病気の予防、介護に関する知識・情報を得ておいてよかった、得ておけばよかったという回答もあった。
回答例
☆健康に関する情報を積極的に取り入れておいてよかった(女性40代後半)
☆健康に関する情報収集に余念がなく、それをノートに書き記しておいた(女性50代後半)
★医療についての知識をもっと深めておけばよかった(女性40代前半)
★健康維持や介護・医療について知識や技術をもっと得ていればよかった(男性40代後半)
★栄養の知識があればよかった(女性50代後半)
★生活習慣病を予防する知識を得ること(女性50代前半)
(4)その他
 以上で述べたのは自分自身の健康についての回答だが、やっておけばよかったことについては家族、特に親の健康についての回答もかなりあった。家族の健康に関しても、40・50代になって後悔することが多いといえる。
 具体的には、親やその他の家族の健康にもっと気を遣えばよかった、特に健康診断や検診、人間ドックの受診や治療を勧めればよかった、などの回答があった。
回答例
★親の健康にもっと気を配る(女性50代後半)
★親の体に負担をかけるようなことを少なくしておけばよかった(男性40代前半)
★父の血圧、食生活について、もっと気にしてあげられればよかった(女性40代後半)
★両親にもっと健康管理をするように言っておけばよかった(女性40代前半)
★両親の健康管理にもう少し積極的に関わっておけばよかった(女性40代後半)
★親の禁煙(女性50代前半)
★家族の喫煙を注意してもやめさせることができなかったので、何としてもやめさせるべきだった(女性40代後半)
★夫のメタボ対策(女性50代前半)
★親に人間ドックを受けさせる(女性40代前半)
★父親を無理にでも健康診断に行かせること(男性50代後半)
★母親に、きちんとした検査を早めに受けさせておけばよかった(女性40代前半)
★両親にもっと精密な定期健診を受けてもらいたかった(男性40代後半)
★家族全員が定期検診をしっかり受けることを勧める(女性40代後半)

<まとめ ~20・30代でやっておくべきことは?~>
身体面での配慮のうち生活習慣に関してやっておいてよかったこと・やっておけばよかったことの筆頭には、運動・体力づくりがあがった。若いうちから運動を始め、そして40歳を過ぎても続けられる運動を見つけておくことが課題といえる。
また、食生活への配慮や禁煙も20・30代でやっておいてよかった・やっておけばよかったこととしてあがっている。運動・体力づくりと同様、食事や喫煙の習慣も早いうちから改善することが大切である。
健康診断や検診の受診、治療をやっておいてよかった・やっておけばよかったと回答した人は、病気が見つかった経験のある人で少なくない。また、歯の自己ケアや歯科検診・治療をやっておけばよかったと答えた人もいる。歯を含む身体の健康の重要性に、40・50代になってから気づく人がかなりいると考えられる。
また、身体面以外では経済面、情報面での備えをしておいてよかった・しておけばよかったという回答もあった。これらについても、一朝一夕でできるものではなく、若い時からの貯蓄や保険加入、あるいは情報・知識取得の積み重ねが重要といえる。
自分以外の人の健康に関しては、親などの家族の健康に気を配ればよかった、といった回答も目立った。図表2に示す通り、今回の調査対象者のうち両親とも元気(「見守りや手助けを必要とすることはない」)という人は34.7%に過ぎず、実親の少なくとも一方は既に他界している人が52.4%(網掛け部分)と過半数にのぼる。このことからもわかるように、40・50代になると親の病気や介護、そして死別に直面し、親の健康に気を配らなかったことを後悔する人が多いと考えられる。自分だけでなく親の健康に関しても、元気なうちに気をつけておく必要があろう。
(みずの えいこ 上席主任研究員)