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旅行は、日常では得られないものを手にすることが出来る。

旅行は、日常では得られないものを手にすることが出来る。

ドリーム・ケア・サービス 代表・加藤信一氏

CSJライター

ドリーム・ケア・サービス 代表・加藤信一氏

「体が不自由だから、ひとりで外出は不安。とはいえ忙しい娘に頼むのも…」というような高齢者に向けて、“本物の介護”で安心・安全のお出かけを提供するドリーム・ケア・サービス。なぜ、高齢者のための外出サポート事業を始めたのか、そしてどういった活動をしているのか。代表の加藤信一さんにお話を伺ってきた。

外出サポート立ち上げの経緯について教えてください。

病院に行くのも旅行に行くのもそうですが、外出するという点に力を入れていく理由としては、介護業界に勤めていると、ご利用者の方々にとって楽しみがなかなかないというところからきました。
介護業界の限界もありますが、今の制度の中でスタッフは全力で働いているとしても、その楽しませてあげたいという想いとは裏腹に、入居者の方は「今日も楽しかった!」「生きていてよかった!」と思えず、部屋にこもって「楽しみがない」と嘆いている方がたくさんいるのが現状なのです。私たち健常者のように、頑張ったから週末に飲みに行くなどといった楽しみや、映画や買い物など、頑張る源になるようなことがなかなかできないことが、以前介護業界で働いている中でとても引っかかっていました。
そこで、外出がままならなくなった要介護者様のご家族に代わって、私たちが外出や旅行にお連れしたいと、介護福祉士を持つ仲間たちと共に外出サポートの事業を立ち上げたのです。

以前は会社員だったようですが、起業するにあたり大きなきっかけとなったことはあるのでしょうか。

以前、夜勤をしているときに眠前薬を配りに行った際、ある方が時刻表を見ていたんです。その方に何をしているのかと尋ねると、「時刻表を読んで北海道に行った気分になっている」と仰りました。それを聞いて、私は胸が締め付けられる思いになりました。今まで仕事でも家庭でも活躍されてきたような大先輩が、今は杖をついたら歩けるけれど一人だとなかなか出掛けられず、「でも娘に迷惑をかけられない」と旅行すら行けない。かといって自分一人で行くのは怖いから、諦めて部屋で旅行に行った気分になるために時刻表を読んでいるというのです。その方は精一杯笑顔で話していましたが、その裏で心の涙が伝わってきたような気がしました。それを見てとても切なくなり、そのような夢を叶えてあげられなくて悔しいという想い、そして、諦めさせちゃいけないという想いから、夢を叶えるサポートを本業にしたいと思い、働いていた会社を辞める決断をしました。

今までで一番記憶に残ったサポートを教えてください。

もちろん全て思い入れがありますが、私の母の知り合いの70代の方で、戦時中に凍傷になり手足が壊死してしまい、膝から下、肘から下の両手両足を切断されていて本当に子どもの頃から不自由な思いをされてきた方のサポートをさせて頂いたことが特に胸に残っています。その方は生まれてから一度も飛行機で旅行をしたことがなく、母に「彼女をどうしても旅行に連れて行ってあげたい」「夢を叶えてあげたい」と涙声で伝えられたことがきっかけでした。3泊4日のツアーは、必ずしも豪華なものではありませんでしたが、今まで「家族に迷惑をかけたくないから」と遠慮をして行けなかった方が、サポートをすることで生まれて初めての飛行機に乗ることが出来、それだけでとても喜んでくれました。今でも鮮明に覚えているのが、飛行機から雲を見て、子どものように目を輝かせて喜んでいる姿です。それを見て私は“こんなに喜んでくれるんだ”ととても嬉しく、また一緒に喜ぶことが出来ました。
帰ってから娘さんが「母が帰ってきてから嬉しそうにアルバムを見ながら旅行の話をしているのを見て、私も自分のこと以上に嬉しくなりました。来年・再来年はどこに行こうかと、母が今から楽しみにしています。」と報告してくださり、更には少々出不精になっていたお母様がとても元気になって、来年の旅行に向けて元気にならなければと張り切っている姿を見て、娘さんも本当に喜んでくださいました。その方だけではなく、ご家族の方にも喜んでもらうことが出来、こちらから御礼を言いたくなるほど嬉しく思いました。
このことにより、ちょっとした手助けがあれば、無理だと思っていた旅行も可能なのだと確信しました。

外出サポートを提供するうえで、大切にしていることはありますか。

やはり、費用に関しては、年金でギリギリの生活をしているような方のお手伝いもしたいので、いかに安く提供するというのは大事なテーマだと思っています。
お金を持っている方にだけ活用して頂くのではなく、一人でも多くの方のお手伝いが出来ればなと日々思い活動しています。
また、ドリーム・ケア・サービスは旅行会社ではないので、主にプランを立てるのは旅行会社です。ただその分、お客様の行きたいところややりたいことを反映するために、通常のパッケージツアーとは違って個人のご要望を聞けるという強みは大切にしていますし、出来るだけお応えするよう心掛けております。

今後の展開を教えてください。

オーストリアにて

まだまだ外出サポートに関しては様々な不安を感じる方もいらっしゃると思います。旅行を諦めている方が外出サポートを使用する際の不安点とすると、まず安全面だと考えます。事故や旅先で具合が悪くなったときなど、本人はもちろん送り出すご家族も心配なはずです。しかし、付添人はもちろん介護士となりますので、ご安心して頂ければと思いますし、費用に関すれば、ご予算を提示して頂ければその方にあったプランを提案することも出来ます。旅行や外出には、他では得られないものを体験出来ると私は考えます。それを多くの方に知って頂きたいですね。
「旅行や外出というのは、普段の日常では出来なかったことを出来る力があるのだ」と、改めて思ったという加藤さん。子どものように輝く笑顔を見せるお客様お一人お一人の姿が、加藤さんの次への原動力に繋がっているのだろう。

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